使者の黙示録
(何事もプラスに考えるべきだ)


いつもの自分に立ち返った野瀬は、タバコを吸っている団司に探りを入れてみる。


「ここで誰かを待っているのですか?」

「いや、別に」


人間関係のうすい団司が、ここで誰かと会う約束をしているとは、野瀬にも思えない。


(俺の後をつけてきたのでないなら)


ひとつの答えが導かれる。


(やはり、目的は修道院の少女か)


それ以外に、こんな場所にきてまで一服する理由が見当たらない。


(しかし、なぜこの男は少女たちに近づこうとするんだ?)


そういう肝心の部分が、野瀬にはまったく見えてこない。

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