使者の黙示録
野瀬は、その言葉で己の見解を締めくくる。

しばしの沈黙のあと、マザー・アミコが野瀬に礼を言う。


「貴重な情報をありがとうございます。後日、所定の金額をそちらの口座へ…」

「いや、結構」


野瀬は、慌てたようにマザー・アミコの言葉を遮る。


「確証のない私の個人的な見解で、報酬を頂くわけにはまいりません」


野瀬は、調査のためにすでに受けとっている前金だけで結構だと説明する。

しかし、マザー・アミコはそれを突っぱねる。


「私どもにとっては、有益な情報に変わりありません。では」


マザー・アミコはそう言って電話を切った。

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