使者の黙示録
逃げるなら、いまだ。

シスター・マヤはメグを連れて、一刻もはやくこの場を離れようと

外が見える状態となっている出口に目を向けて立ち上がろうとした、そのとき

彼女の胸に、地獄の底から響いてくるような不気味な声が伝わり

逃げようとする彼女の動きを止める。


『自ら絶滅することを選んだ、愚かな人類よ』


得体の知れない悪寒が、シスター・マヤの全身を突き抜け

彼女の身体に鳥肌を立たせる。


『われが力を貸してやろう。望みどうりに…』


静かなる恐怖の響きは

シスター・マヤを心の底から震えあがらせた。


『滅び去るがいい』

< 283 / 357 >

この作品をシェア

pagetop