使者の黙示録
自分たちが、こうして生きているのは

人類再生のために、神に選ばれたからであろう。

しかし、団司の話によれば

必ずしも、愛の心で満たされた人間ばかりが、生き残ったわけではないらしい。


「例えば、欠点のない人間ばかりが集まると、なかなか成長できないものなんだ」


団司の話すことは、分かる気がする。

その一方で、ルゼの不安をかきたてる。


「もし、人類が再び悪と欲にまみれて、虐殺の歴史をたどるようなことになれば…」


団司は、言うまでもないと伝えるように無言でうなずいた。

そのときは、人類は本当に滅亡するだろう。

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