恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「今、呼び捨てに………」
確かに今、木村さんは翡翠のことを呼び捨てにした。
今までずっと敬語だったのに。
翡翠の方を見ると、特に気にもせず、仕事を始めていた。
「今まで言ってませんでしたけど、俺ら三人は中学からの付き合いです」
三人ってことは………
「津田さんも?」
「はい」
珍しく津田さんが答えた。
「なんで今まで黙ってたんですか?」
今さらなんで言ったんだろう。
「最初は何となく、翡翠に対して敬語だったのですが、今は別に隠す必要もないですしね」
なんか他にも理由ありそうだけど……
ま、いっか。
「じゃあわたしにも敬語使わないで下さい。津田さんも。
わたしの方が年下だし、わたしそんな偉い立場でもないですし」
「わかった。
じゃあ、ユリちゃんも敬語使わないで」
「それは………」
「こいつらの言う通りにしてやれ。
それにお前、俺には敬語じゃないだろ?」
今までデスクのところで仕事をしていた翡翠にそう言われた。