恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】



泣いて落ち着いたわたしは、わたしを抱きしめている男を見上げた。




男は目が合うと、優しい笑顔になった。





また泣いてるところを見られたからか、恥ずかしくて目線をずらして男に聞いた。





「そういえば、名前……なんですか?」



「名前?あぁ、言ってなかったな。
俺は、黒崎翡翠-クロサキヒスイ-だ」




黒崎翡翠………
見た目もすごいけど、名前も負けてない。



名前通りの人って感じがする。





「さて、そろそろ行こうか」



最後に頭をぽんぽんっとすると、体を離して男は言った。



行くってどこに?




そう思っていたのもつかの間、翡翠はコートを着て右手にわたしの荷物を持つと左手でわたしの手を握り、そのまま歩き出した。




えっどこに行くの?
しかも歩くの早い。



わたしは小走りになって、着いて行った。








< 72 / 431 >

この作品をシェア

pagetop