雨宿り
「渉の背中…温かいな」
「そうか」
「うん。渉の背中…好きや」
ドキッ!
「背中が好きか?」
「うん」
「他は?あかんか?」
美桜の顔が俺の背中に押し付けられてるから、顔が見えないから、こんな恥ずかしい事が聞ける。
「この手も好きや。大きいて優しいて」
手をギュッと握る。
「他には」
「渉の脚も好きや。サッカーで走り回ってる脚が」
脚か。
「他には」
「渉の声が好きや。ちょっとハスキー な声、聞いてるのは耳に心地いいもん」
声もか?
「他には」
「頭がええとこも好きや」
「他には」
「目が好きや。見つめられると吸い込まれそうになる目が」
「他には」
「渉の胸が好きや。いつも甘やかしてくれる胸が」
「他には」
「渉の唇も好きや。優しいキスしてくれる唇が」
「他…には」
「……」
「他には…もう無いか?」