雨宿り



「美桜」

「あっ、小姉」

小姉が来てくれた。

「お母さんは?」

「今、着替えとか取りに帰った」

「ほな、行き違いやな」

「うん」

「美桜…はい、携帯」

「あ、小姉 ありがとう」

「渉君に連絡したげや」

「うん」

な、何?

小姉がニヤニヤ笑いながら見てる。

「渉君、きっと寂しがってるで。 まぁ、あんたもやさかいおあいこやろけど」

小姉?

「怒ったってあかん。渉君に会いたいくせに。顔に描いてあるで。あ~青春やなぁ」

な、何が青春ですか?

こっぱずかし い。

「まぁ、絶対お見舞いに来るわな」

「来てくれるかな」

「そりゃ愛しの美桜の為やから来るって」

来てくれる?

そうやったら嬉しいけど

あっ

「あかん」

「何が?」

「渉、来たらあかんわ」

「何で?会いたいんやろ」

「会いたいけど…こんな姿を見られるのいやや。頭ボサボサやし」

それにパジャマやで。

恥ずかしいやん。

「美桜…あんたも乙女やなぁ」

は、はい?

私が乙女ですか?

「我が妹ながら可愛いわ」

可愛い?

私が?

小姉に初めて言われたかも。

「大丈夫や。渉君なら気にせいへんし」

いや、私が気にするんですけど。

「大丈夫、大丈夫」

笑いながら帰って行った。

人事やと思うて。


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