雨宿り



「美桜あんた、えらい猛勉強してるんやな」

小姉。

「期末か?」

「うん」

「また渉君と勝負してるん?」

大姉まで…

「仕方ないやん。渉がしつこいんやもん」

「わざと負けたったら」

な、何言うん?

「小姉、そんなんして渉が勝っても喜ばへんで。それに何で負けなあかんの?渉 は顔もええしスポーツかって出来るし性格もええやん。おまけにモテるし、 私…全部負けてんねんで。 頭くらい勝ちたい!」

「ハハハ…」

へっ?

「あんた、何やかんや言うてものろけてるやん」

はぁ?

「私は、じ、事実を」

「焦らんでええ」

「うん。それはのろけやん」

大姉も小姉もおかしい。

何故に事実を言ったらのろけなんですか?

「渉君かてな、きっと美桜は顔がええ性格ええモテてる。そやから俺は試験だけ では勝ちたいって言うと思うわ…な、薔子姉?」

「うん。私も桃の言う通りやと思うわ。あんたら結局似た者同士なんや」

似た者同士か。

ま、確かに似た者同士やけど!

「お姉ちゃん」

「うん?何 大きな声出して」

「負けず嫌いとかは似てるかもしれんけど」

「うん?」

二人の視線が私に注がれる。

「私は、美人やないし運動音痴やし性格ようないし、それに私はモテません!」

私はお姉ちゃんらとはちゃうねん。

「…あんたな」

「賢いのに、何で自分のことは分からへんのん」


< 163 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop