雨宿り

【其の一】





「み~お」

何ですか、その声は?

「美桜ちゃんて!」

「はい?」

「もうすぐ期末試験やな~」

そうですね。

もしかして、またかいな。

「また勝負すんのん?」

「さすが、委員長様。お察しの宜しいことで」

何で勝負ばっかりせなあかんのやろ。

「…んで?」

「へっ?」

「負けたらどうすんの?お弁当は作ってるし…後は何がお望みで?」

「う~ん。そやな、これと言って望みはないな」

私の顔に顔を近づけて…って近すぎる。

ここは教室やで。

みんないるやん。

「の、望みがなかったら別に勝負する必要ないやん」

顔を離し、ついでに渉のオデコを指で弾く。

「痛~」

「痛ない」

オデコを擦りながら

「望みはな、一学期の期末に負け二 学期の中間が同点。だから今度こそ俺が勝つ !」

立ち上がり、ガッツポーズ…って。

クラスのみんなから拍手受けてるし。

「委員長、勝負受けたれや」etc

囃される。

何か今や私らのテスト対決がクラスの イベント化してるような気がする。

「美桜」

「委員長」

全くもう…

「分かりました。勝負させて頂きます」

ワー!!

何故かやんやの喝采。

このクラスに娯楽はないのか、他に。

そやけど勝負を受けたからには負けたくないしな。

また、猛勉強か。




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