雨宿り
「まだ、そんな事言うてますか?」
「あぁ」
「アイツ絶対認めないんですよ。自分が可愛い綺麗やって。それだけやない、自分は根暗でガリ勉やって言ってクラス中を笑かしてる。みんなは冗談や思ってるけど…美桜はマジなんです。自分はお姉さんらに劣ると思い込んでる」
先生も真面目な顔になり
「確かに…薔子は可愛い系、桃ちゃんは派手系の美人や。美桜ちゃんは、何かパッと見た目は眼鏡の印象か頭の良さそうなちょっと近寄りがたい感じあるけど、眼鏡外したら可愛いらしい しな。派手さはないけど人目を引く… どういうたらいいんやろ…凛としたって言うんかな…美人や。性格も暗ないし、ま、どっちか言うたらユ ニークやし素直やし、ええ子なんやけど…自分はお姉ちゃんらより劣ってると信じてるんやなぁ」
「はい」
二人して溜め息や。
「今回の勝負でも、渉君は顔ええスポーツも出来る、性格もええし女の子らにもモテる。自分とは正反対やから、試験だけは負けたないって言ってるらしい」
「……」
「君に勝ったら、ちょっとは自信が持てる言うか互角になれるって思ってるんかな」
そ、そんな阿呆な!
「そやけど…こんな話ししたから言うて渉君…わざと負けたらあかんで」
「あ、当たり前です。そんな事したら美桜を馬鹿にしてる事になります」
先生がニコッと微笑み
「やっぱり君ら似てるわ」
「……」
「美桜ちゃんもおんなじ事言うてたらしい。桃ちゃんが渉君に花持たせたらって言ったら渉君に失礼やって」
さすが、美桜。
「ま、お互い頑張れよ」
「はい」
「いつか美桜ちゃんも自分がどんな人間か分かる時が来る。その時に渉君、君が美桜ちゃんの隣にいてやってな。君やったら美桜ちゃんをシスターコンプレックスから抜け出させる事が出来る」
「先生」
「こんな話ししたの、神村三姉妹には内緒な」
「はい」
「試験終わったらまた、みんなと飯行こうな、奢るから」
「あ、ありがとうございます」
店を出て、先生と別れた。