雨宿り



「渉、渉って」

「へっ?」

考えこんでた。

「大丈夫か?」

「あ、あぁ。で?」

「う、うん。あんな25日は家族でク リスマスやけど…出来たら24日に… 会いたい」

「……」

美桜 まっかっか!

俯いてしもた。

美桜から会いたい言うてくれた。

「お前、狡い」

「えっ、何が?」

「それ、俺が言う台詞やんか」

美桜が顔を上げて

「わ、渉から…言うて」

か、可愛い過ぎる。

「24日、俺と…イ、イヴ過ごしてくれますか?」

「は、はい。お願いします」

「ハッハハハ…」

「えっ?」

俺が急に笑い出したから怪訝な顔してる。

「美桜…お願いしますはないやろ」

「えっ、おかしいか?」

「まっ、美桜らしいちゃらしいけど」

「何やのん、それ? フフフ…」

二人して笑い出した。

美桜といると、こうしたたわいのないことでも笑いが堪えない。

心が楽になるいうんか、ゆったりする。

それは、やっぱり美桜やからやな。

俺の波長と美桜の波長がきっとおんなじなんやろな。

そやけど…

彼女に初めてのクリスマスプレゼン トって何贈ったらええんや?

退院祝いにペンダント贈ったしなぁ。

――



あっ、そうや。

あれがええな。

そやけど…間に合うかなぁ。

いや、間に合わすんや。何が何でも!

「…る、渉って」

「あ、あぁ」



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