雨宿り



放課後

「美桜、帰るか」

「あ、うん」

二人、教室を出た…ら

「時枝先輩」

女の子二人が

「チョコレート受け取って下さい」

へっ?

私が横にいるのに、堂々と。

「えっ?いや」

「いいじゃないですか~チョコレートくらい。神村先輩も気にしないですよね」

「えっ」

何か馬鹿にしたような…

あっ!

この子ら、前に

『あんな根暗のガリ勉のどこがいいのよ』と聞こえよがしに言うた子らや。

「チョコレート渡したくらいでヤキモチ妬きませんよね。先輩は心が広いから」

「……」

な、何や、この言い方!

もろ嫌味やん。

「ね、先輩」

「いらん!」

「先輩、神村先輩が横にいるからって」

「お前ら阿呆か!いらん言うてるやろ。俺はお前らみたいに人を小馬鹿にしたような空気読めへん奴が一番嫌いやねん!それにな、俺は美桜以外からは入らん。美桜、行くで」

私の腕を掴んで歩き出す。


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