雨宿り



私は水着の上にロングTシャツ

コイツも水着の上にTシャツを着てる。

お日さんを浴びて茶色の髪がキラキラ してる。

ほんと綺麗やなぁ。

「委員長、どうしたん?ぼけーとし て」

へっ?

あかん。

見惚れてた。

「な、な、何でもない」

首をフルフル振る。

「海、入る?」

「あ、うん。日焼け止め塗ってから。 先に行ってて」

クリームを出してると

「一緒に来てんのに何で別行動とらなあかんねん。待ってるから一緒に行こ、な」

ニコッて笑われて

ドキッ!

あかん。

また心臓がダンス始めた。

クリーム塗るのに集中する振りをし て顔を隠す。

「あんたも塗っといた方がええよ」

クリームを渡す。

「うん」

コイツがクリームを塗ってるまにTシャツを脱いで、胸元や二の腕にクリームを延ばす。

「委員長…背中塗ったろか?」

へっ、背中?

あっ、

「ええよ、だ、大丈夫や」

そんなん、めっちゃハズいやん。

「そやけど、手届かへんやろ。後ろ向いて」

「……」

「早う」

しゃーない。

「うん。あ、ありがとう」

「うん」

背中を向けて塗ってもらう。

優しく優しく塗ってくれる。

くすぐったくて、モジモジしてしまう。

今、顔見られたら真っ赤や。

「出来たで」

「あ、ありがとう。代わるわ」

「えっ?」

「後ろ向いて」

「う、うん」

クリームを受け取り、背中に塗り

えっ?私…塗るって…それって触るって…ことだよね。

ぼ、墓穴掘ってしまった。

緊張して、手、手が震える。

ハッハハハ…

早うせんと変に思われる。

意識したらあかん。

この背中は、お兄ちゃんやお兄ちゃん。

お兄ちゃんいいひんけど…って何、一人突っ込みしてんねん。

そやけど『お兄ちゃん』と言い聞かせながら塗っていく。

うん?

心なしか背中が震えてる。

コイツも緊張してんのか?

そう思うと、ちょっと余裕が

「出来たよ」

「ありがとう。海、入ろ」


< 35 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop