雨宿り



今日は委員長と花火大会。

今だに美桜と呼ぶのが恥ずかしい。

委員長も俺の事を渉って呼ぶのが恥ずかしいみたいやし。

まぁ、ええか!

待ち合わせ場所の公園の入り口で

――



あっ、委員長!

紺地の浴衣に赤の帯。

か、可愛い。

「ごめん。待った?」

「……」

「どうしたん?」

へっ?

あかん、見惚れてた。

「いや、俺も今来たとこ」

ほんとは20分くらい前から来とったけど。

「凄い人やね~」

「そやな」

「見えるかなぁ」

公園から土手の方に向かって歩き出す。

「あ、委員長 危ないから」

どさくさに紛れて手を繋ぐ。

「あ、ありがとう」

今日の委員長、なんやしおらしい なぁ。

なんか…胸がキュンキュンする…って俺、乙男(オトメン)か!

「ほんとにどうしたん?赤なったり青なったり…具合、悪い?」

「全然、元気です」

「ハハハ…」

笑うてる委員長、可愛いなぁ。

俺、目尻下がりっぱなしやん。

「河原に下りるか」

「うーん、人が多すぎるさかい上から見よう」

「そやな」

ドン バババ…

花火が上がった。

「わ~綺麗やなぁ」

「うん、綺麗や」

委員長がな。

花火の明かりで委員長の顔が浮かび上がる。

さりげなく手を握る。

一瞬、委員長がピクッと。

嫌なんか?

ちょっと落ち込みそうになった…時

委員長が握り返してきた。

「委員長」


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