雨宿り



私も関西人の端くれや。

「私がキスで、あ、渉が50円ってのは安すぎる。私のキス=50円てことやろ?」

何でキスの安売りせなあかんの!

「う~ん。じゃあ100円?」

100円か。

まだ安い気もするんやけど…しゃーないな。

「100円で手打とう」

「OK 。契約成立…で、委員長 あっ」

さっそくやがな。

「渉く~ん 100円」

「…はい」

財布から100円出して渡してくれる。

「毎度あり~やな」

「美桜、喉渇いたし何か飲もう」

そういや喉渇いたな。

「うん」

渉がサイダーを買って来てくれて、バ イクにもたれ掛かりながら飲む。

この暑さにサイダーが喉を通る時のシュワシュワ感が気持ちいい。

「これから何処行くん?」

「美桜は何処か行きたいとこあるか?」

「…こないだも言うたやん。渉と一 緒やったら何処でもええねん」

見る見るうちに真っ赤になった。

可愛いなぁ。

本人に言うたら嫌がるけど。

「空港に行こか?」

「空港?」

「夕方に離陸発着する便が多いから…」

ロマンチックやな。

まぁ、私も嫌いやないしロマンチックは…

渉には秘密やけど…

「うん、行こか。あ、あんたな」

「今、あんたって言った」

鬼の首 取ったみたいに。

「約束は守ってや」

「しゃーないな」

チュッ!

嬉しそうに笑ってる。

ほんとは、わざと『 あんた』って 呼んだのに。

なんでって…

なんとなく…

キスしたかったから。

多分これからも…

私からキスしたくなったら

あんた とか

ちょっと とか

わざと呼ぶんやろな。

やっぱり素直になれへんわ。

恥ずかしいもん。

渉、ちょっとは乙女心分かってな。





※Fin*









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