雨宿り



「み~おちゃん」

何、その猫撫で声は

「試験…もうすぐですなぁ~」

二学期の中間かぁ。

それがどうした?

「今度こそ勝つ!」

「あ、そう。頑張って」

「ち、ちょっと美桜」

「うん?」

「どうしたん?俺勝つって言うてんね んで」

「うん。まぁ頑張って」

別にどっちでもええやん。

何か賭けてるわけやないし。

「美桜~」

なんやな、情けない声出して。

「俺の挑戦受けてぇな」

挑戦ねぇ。

「受けて何かあるん?えっ渉君。また負けて落ち込む渉君を慰めるのは大変ですよ」

「ち、ちょっと待て!完全に俺が負けるとでもお思いか?」

芝居がかってんな、今日は。

時代劇でも見たんか?

「まぁ、お思いですけど何か?」

「ずぇ~たい俺が勝つ!」

大見え切った。

阿呆か。

私の冷めた目を見て

「美桜は冷たいなぁ。仮にも俺の彼女やったら、もうちょっと優しいしてくれ…」

「仮? ふ~ん私は渉さんの仮の恋人なんや。ほんまの彼女やなかったんやねぇ。と言う事は私もマジな恋人作ってもいいんや」

挙げ足取ったった。



< 52 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop