雨宿り

【其の一】




「えっえぇぇぇぇ~~」

教室に美桜の叫び声が響き渡る。

まぁ、気持ちは分かる。

俺も出来るもんなら叫びたい。

原因は

来月の文化祭

俺らのクラスは劇をすることに決まり

タイトルは

「ロミオとジュリエット」

シェイクスピアや。

ほんで今日、配役決めなんやけど

クラス全員一致で二人に決まってしまった。

すなわち

ロミオ 俺

ジュリエット 美桜

正に絶叫もん!

「時枝君のロミオは分かりますが、 な、何で私がジュリエットなんです か?め、眼鏡を掛けた根暗ながり勉がジュリエットなんておかしいです」

とわけの分からない反論をしても

「委員長、本番に眼鏡外してくれたらいいから、だいたい裸眼0.7あるや ん。それに委員長が根暗でがり勉やったらクラス中が根暗でがり勉になるやんけ」

と却下されとるし。

うん、クラス中に大きく頷かれてる。

「それとも委員長、時枝君と他の女の子のラブシーン見たい?」

この一言で退却。

俺も…右に同じ。

そやけど何で俺らやねん?と質問すると

「君ら二人、学校で有名カップルやから。男前と凛とした美女…話題性大やん」

『凛とした美女』

うんうん。よく分かってる。

…って

俺ら、客寄せパンダか!



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