雨宿り
「美桜」
「……」
「美桜って」
「ご、ごめん。き、今日はあかんわ」
私やっぱり嫌や。聞きとうない。
「はっ?」
「明日、明日聞くから…聞けると思うから…やっぱ心の準備がいるねん」
今晩中シュミレーションして泣かへんよう練習しよう。
「お前、さっきから何わけの分からん事言うとんねん」
俯いてた私の顔に手を掛け、渉の方に向かせ
「美桜…何泣いてんねん」
泣いてる?
私、泣いてるん?
「ハ、ハハハ…何や知らんけど涙が勝手に出てくんねん。ご、ごめんな、汚い顔で」
私、何言うてんのん?
頭がパニック起こしてる。
このままやったら熱出そう。
「帰るわ」
立ち上がり鞄を取ろうとした手を抑えられ
「ちょっと話し聞けって」
「だから、明日聞く。今、聞いたら泣かへん自信ないねん」
今でも泣いてるもん。
「そやから何で俺の話し聞いて泣かなあかんねん」
「ふられるんやろ、私?いくら私でも別れ言われて泣かへん自信ないねん。そやから明日にして。心の準備してくるし…明日やったら金曜やし土、日曜と二日間あれば何とかなると思うねん。な、別れんのは明日にして。最後のお願い聞いて」
私、かなり往生際が悪いみたい。