雨宿り



夕食が終わって10時まで自由時間。

外出届けを出しとけば外にも出られる。

ただし…ジャージやけど。

「美桜、行けるか」

「うん」

里ちゃん達と一緒に外出届けを出して夜の街へ…

お互いカップル同士で別行動。

「はぁ~やっと美桜と二人きりになれた」

渉が私の手を繋ぎ歩き出す。

「渉」

「うん?」

「百合ちゃん達を助けてくれたんやてね、ありがとう」

「美桜がお礼言う事あらへん」

照れてる!

「ううん。百合ちゃん達も感謝してたよ」

「もう、ええって」

「あんなぁ」

「うん?」

どうしたって感じで私の顔を見る。

「渉って」

「うん」

「喧嘩強いのん?」

「はぁ?」

「い、いや、何か啖呵切ったとか」

コイツ何言いだすんやってな顔で私を見てる。

「そんな強ないで。まぁ、ガキの頃から少林寺拳法はやってけどな、そやけど喧嘩はせえへん」

はい?

「少林寺拳法?渉って少林寺やってたん?」

「今もやってるけど」

全然知らんかった。

「そうなんや」

「どうしたん?美桜…何か暗いで」

「ううん。何でもない」

私…渉のこと知ってるつもりやったけど…

寂しいなぁ。

「美桜」

「あっ、何?」

渉は私の寂しさが分かったのか

後ろから抱きしめて

「俺、喧嘩なんかせえへんから…美桜を泣かしたりせえへんから…な」

「う、うん」

そやな。

これからもっとお互いのことを知り合っていくんやろな。

きっと…

恋愛って…

そんなもんかもしれんな…

「渉」

「うん?」

「喧嘩はせんでええけど」

「うん」

「うちのこと」

「……」

「守ってな」




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