ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「目的地がわかった。今すぐ出るぞ、30秒で準備しろ」


携帯電話越しに聞こえた暑苦しい野郎の低い声に、思わず顔を顰めた。



寝ぼけた俺の頭が拒否反応を起こした。

あー行きたくね。



俺の家は案の定、思う存分荒らされていた。


上のヤツ(桜庭)に直訴して、割られた窓だけ急遽新品に取り換えて貰ったから、隙間風に悩まされることは無かった。

けど、ソファーやベッドはズタズタに引き裂かれ、散在する衣類や物品で足の踏み場もなかった。



物を掻き分け端っこに除けて寝るスペースを確保し、そこに谷口家から借りた布団一式を敷いて、ようやくインした矢先の電話。



俺を寝かさない気か?


野獣め。野獣の姿をした鬼め。


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