ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
谷口は、来た道をひたすらに戻る。


爆破でドアが吹き飛び、入口が開け放たれたままの研究室前も、気にはなったが覗き見ることすらせず駆け抜けた。

恐らく中は大惨事だ。今、わざわざ不快な物を目にする必要性などどこにもない。



速度を緩めることなく走り続け、一分かからず建物外へ出た。



裏口に待機していた機動隊が、谷口に向かって一斉に銃を構えた。



「俺だ。組対の谷口だ」

谷口が両手を挙げて名乗れば、機動隊はすぐさま狙撃体勢を解いた。



「このまま待機しろ、下手に動くな、指示を待て」

再び駆け出した谷口は、彼らの方を振り返ることなく吐き捨てるように言った。



『エレベーター西、三番目の扉』

谷口は日置の言葉を思い出す。そして、建物に添って移動し、西に回り込んだ。



搬送トラックが通るのだろう。幅の広いコンクリートの坂が二階へと続いていた。


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