ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「はっ? 何寝ぼけたこと言ってんだ、てめぇ。絶対訴えてやっからな。人権侵害と傷害でな。無抵抗の一般市民を襲ったんだかんなぁ」

そう言って、ちょっと得意げなドヤ顔を見せる梶隼人。



「まぁそれが、『罪のない』一般市民だとしたら問題だけどなぁ、あいにくお前は、罪大有りのクソ市民だ。なんも問題ねぇよ。

例えば今、俺個人の判断でお前を消したとしても、一切おとがめなしだ。お前さ、『殺しのライセンス』って知ってっか?」


「007(ゼロゼロセブン)か? バカじゃねぇの? お前、脳ミソ腐ってんだろ?」


「ああ、腐ってんのかな? 自分では良くわかんねぇわ」


言って谷口さんは、わざとらしく小首を傾げて見せた。



ちょっと腐り気味だと僕も思いますよ。賞味期限ギリギリな感じっすかね。



「までも、残念なことに俺の上司はそれを知らねぇ。そして、罪を犯したお前の処分は俺に一任されてんだわ」


「はっ? 『罪』? 何の?」


「それを今から吐かせる」


言って、谷口さんは机上に置いてある電気スタンドの光で容疑者の顔を照らす。刑事ドラマお約束の光景に、俺、ちょっと感動。



そして――


「ようこそ、無法地帯へ」


谷口さんはニッと一瞬だけ笑みを浮かべた。


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