ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「それから、こっちの男」


龍一は、蜂須賀の横に立っている石原に視線を滑らせた。


「白か黒か、はっきりしないなら……」


言いながら懐からフォールディングナイフを取り出し慣れた手つきでブレイドを出す。


「灰いろがかった時点で消せばいい」


その刃先を石原の脇腹に突き刺した。



龍一と石原の身体が重なったまま静止する。



やがて、

石原だけがその場に崩れ落ちた。



「てめぇ、余計なことしやがって。誰に頼まれたか聞き出す前に何しやがる! あのディスクを回収しねぇと、俺たちの計画は全てパーだ」


漆原が狂ったように捲し立てる。


「そうか」


悪びれることもなく至って冷静なまま、龍一は静かに頷き、石原の傍らに左膝を落としてしゃがんだ。


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