ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「お前、妻子がいるよな? 家族に遺言は? 俺がきっちり伝えてやる」


言って、石原の口元に耳を近づけた。



石原は、龍一にだけ聞こえるように掠れた声で囁いた。



『龍くん……ごめ……俺のせい、で』



龍一は何も答えず、漆原たちからは見えないように石原の手を力強く一度握ると、すぐに立ち上がった。



「有坂皆人、組対課の刑事(デカ)に売ったそうだ」


龍一は石原を見下ろしたまま、抑揚なく言った。

途端、石原が目を見張る。



そして、


「ビニールシートを用意してくれ。遺体は俺が始末する」


言って、漆原たちを真っ直ぐ見据えた。


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