赤い下着の主




 学生時代の友人と集まると、当時の気持ちに戻れることもあるが、同時に時間の経過を痛感することもしばしば。

「へー、明美もとうとう結婚かぁ」

「でも式は来年なんでしょ?」

「一年なんて早いよー」

「そうだよね。弥生が妊娠したって聞いて、生まれるのすっごく早く感じたもんね」

「あたしにとっては長かったんだよー」

 そんな話をしながら、自分は結婚適齢期であることや、もう子供の一人や二人いてもおかしくない年なんだと思い知らされる。

「美奈実は? どうして彼と別れちゃったの?」

「え? あ、ああ。それは……」

 美奈実は恥ずかしくて本当のことは言えなかった。

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