赤い下着の主

 返事はキスで返ってきた。

 優の方が押し倒される体勢で、玉置が梶原の上に覆いかぶさる。

「最後なんて、言わないでよ」

「先生……」

「また次があるって、思わせてよ」

 俺だってそう思いたいよ。

「でも」

「あたし、梶原君のこと……」

 言ってしまう前に、遮った。



 そんな言葉、聞きたくない。

 損な気持ち、報われない。


 あらざらむこの世のほかの思ひ出に
 いまひとたびの逢ふこともがな

 和泉式部


 あらざらむこの屋のほかの思い出に
 いまひとたびの抱くこともがな

 梶原優



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