オオカミ達との暮らし方。
ピンチ
ピピピピピピピ・・・


「ん・・・。んん~・・・?」

「おい。さっきからお前の時計うるせーよ」


「・・・・・・」

どうしてここに佐久間 翔汰がいるんだ…。

寝起きであたしは思考がフワフワしていた。


「遅刻するぞ?」

「遅刻っ?!」


そうだった・・・。

あたしは昨日この学校に転校してきて・・・
この最悪な男子寮で生活してるんだった・・・。


「どーしよー!朝ご飯がぁ・・・」

「んなもんいいから早く行くぞっ!!!」

「えー・・・。だっておかーさんが
 ちゃんと朝ご飯食べない死ぬって・・・」


昔、よく母親に言われていたことをふと口にした。


「お前はマザコンかよ?!
 つーか死なねぇし!そんくらいで!!」


ま・・・マザコンってぇ・・・・・・。


「ってなわけで、俺先に行くわ」

「ちょっ・・・見捨てないでよー!!」

「見捨てる」


翔汰はあっさり切り返すと、
扉を開けてさっさと出て行ってしまった。


「待ってよー・・・」

せかせかと準備をし、制服に着替える。


紺のブレザーにワインレッドのネクタイ。
ネクタイには金の糸で下の方にストライプが。


にしてもここの制服いいな・・・。


そう思いながら
勢いよく扉を開けて出発した。


ガンッ


少し鈍い音がした。


「痛ってぇ・・・」


その直後に涙声。


「え??」

扉を閉めて裏を確認すると、
そこにはさっき出発したはずの翔汰がいた。


「なんでいるの?!」

「悪ィかよ」


もしかして・・・


「待っててくれたの?ずっと??」

「・・・・・・」


ムスッとした表情で
黙りこくる翔汰。


あたしはなんだか嬉しくなって


「いっくよ~~っ!!」

翔汰の腕を引っ張り
ルンルンと走り出した。




< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop