その男、危険人物にて要注意!!




声のした方に、自然と足が向かっていく。

その声の主は…… 奥の方にあるレジで何か作業をしている。


商品を何も持っていないので、少し遠くから見つけに行く。


「あっ……」


やっぱりそうだ、間違いなんかじゃない。

相手はなにかの視線を感じたのか…… ふいに、視線が交わった。


「…… ッッ!!」


あたしが居たことに驚いた様子を見せた。


「いらっしゃいませ―――」


しかし、すぐに微笑みを浮かべ、そう言った。


その言葉、きっとお店の中のお客さんに言った訳じゃない。

だって、あたしを見ながら、いつものように二人きりのときに見せる笑顔で笑いながら言ったんだもん。


少しレジの中にいた人に声をかけて、あたしの元にやってきた。


「松田さん……」


「紗雪ちゃん、ちょっとこっち来て?」


手招きされて、あたしは松田さんの背中を追いかける。

松田さんは従業員専用ドアに入っていったので少し躊躇したけど、あたしも松田さんの背中を追う。


案内されたのは、小さな事務所みたいなとこだった。


「店長ー、ちょっとレジお願いできますかー?」


「嫌だよー。 こっちの入力終わってねーもん」




< 147 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop