眠り姫はひだまりで


それで、斉藤先輩はしぶしぶわかった、と言って……。

そこを、偶然とりまき先輩達の一人が、現場に遭遇したと。


だから、斉藤先輩と一緒に帰ったあの日の先輩は、焦っていたんだ。



「ごめんね大和。ありがとう」



頭を下げる私に、いいよ、と言いながら、相変わらず横を向いている大和。


「……………俺は、このまま色葉に知られずにかっこよく終わりたかったのに。知られたら、かっこ悪いじゃん」

…………?


「なんで?どこが?私は素直にありがとうって思うよ」


「…………でもさぁ………」


…………こんなふてくされた大和は、初めて見た。


そんなに、知られるのが嫌だったの?





「……………先輩にどこまで聞いたの?僕が斉藤先輩に何言ったか詳しく聞いた?」


横目に私を見る。

「……や、あんまり…」


「…………そ。よかった……」


大きく安堵している大和。


「え…なに?なに言ったの?」

気になる!


「…………や、気にしなくていいんだって。さ、教室戻ろ。チャイム鳴る」

はぐらかされた!
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