眠り姫はひだまりで

相変わらず、前のほうではピンクオーラが漂っているし。

…ミオは、なんだか裕也くんといいかんじだし。


必然的に余ってしまう私と、二組の男子、寺島朔(さく)くん。

いちばん後ろにいた私は、朔くんと少しずつ話しながら、集団について行っていた。


そこで、聞こえた子供の泣き声。


後ろを振り返って、人ごみのなか視線を動かすと、フロアの端で小さな男の子が泣いているのが見えた。


「…泣いてる…………」


私がぽつりとつぶやくと、朔くんが不思議そうに私をみた。

「え?」

「あそこで、男の子が泣いてる」

「まじで?ひとり?」

「うん…迷子かな」


歩きながら後ろを見るけど、誰も男の子に話しかけようとしない。


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