眠り姫はひだまりで

「どーしたの」

「色葉ちゃんが、なんか向こう行っちゃった」

「はぁ?」

どゆこと、と訊くと、向こうで泣いてる男の子がいるらしくて、と返ってきた。


…ああ…もー…あの子は。


「助けにいったんでしょーね…」


単純っていうか、人がいいっていうか。

「俺、ついてったほーが良かったかな」

「ん〜…迷子になりかねないけど、携帯あるし大丈夫でしょ」


たぶん、迷ったら真っ先にあたしに電話がかかってくる。

「そんときは、寺島くんが行ってあげて」

どーせ、密かに色葉のこと狙ってんでしょーが。

「わかった」

まぁ、寺島はいいやつだと思うから、いいけどね。


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