眠り姫はひだまりで
佐伯くんは少しの間考える素ぶりをしたあと、ぱっとこっちを向いた。
不思議そうに、周りの女子達が佐伯くんを見つめる。
そして、案の定、佐伯くんは。
「僕、色葉んとこ行ってくる」
…やっぱりね。
女子達が、「えー」と不満げに声を上げるけど、佐伯くんは気にしない。
いうが早いか、佐伯くんは携帯を取り出してこっちへ来た。
「色葉の番号わかるの?」
「うん」
いつの間に。
そして佐伯くんは、あたし達の前を通って人ごみのなかへ消えて行った。
「え、佐伯と色葉ちゃんって、そんなに仲いいの?」
裕也くんがびっくりした顔で、佐伯くんが去って行ったほうを見つめる。