眠り姫はひだまりで
思わず走ってきちゃったけど、そして声かけちゃったけど。
えーとえーと、と考えて、私は自分の横に揺れるピンクの物体に気づいた。
「…は、はい!いる?」
ずい、と。
男の子に差し出したのは、ゲーセンでもらったピンクの風船。
………男の子…だし。
ピンクは、嫌かな。
男の子は、しばらく私の顔と風船を交互に見つめたあと、おずおずと手を伸ばしてきた。
そして、「ありがとう」と言いながら、風船のひもを握る。
男の子の涙も止まった。
良かったぁ…
「えっと………お母さん、どこに行ったか、わかる?」
風船を見つめながら、男の子が首を横に振る。