眠り姫はひだまりで

わ………!

チラ見しちゃってて、ばっちり目が合う。

思わず慌てて口をパクパクさせると、純くんが変なものを見るみたいに、眉を寄せた。

それに焦ると、何故か私の手は胸の前で左右に動き出した。

何を弁解してるのか、自分でもわからないけど、とにかく慌てると口と手が無意識に動き出す。

純くんしばらくぽかんとそれを見ていると、やがて、ふは、と笑った。


「なにしてんの」


…周りは騒がしいのに、しっかりと声が聞こえた。

嬉しさで、手の動きが止まる。


「…な、なんでもないっ」

「はは」


…私が、好きな笑顔。

子供みたいな、あの笑顔。

純くんに手を振られて、慌てて手を振る。

それさえも笑われたけど、なんだかとっても嬉しかった。


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