眠り姫はひだまりで


こーなったら、時計を秒単位で見始める。

あと十秒、あと十秒…なんて。

いやいや、朝の一分はデカイんだって。

家中を走り回って、やっと制服に着替え終わったころには。


八時十五分になろうとしていた。


「いやああぁぁあ!あと十五分で遅刻になるよぉー!!」


半泣きになりながら、靴下をはいた。


ソレを見ていたお母さんは、「週に三回は見てるわよね、この光景」なんて、弟の優馬(ゆうま)と話してる。


確かにそぉだけどさぁ………

本当に突っ立って見てるだけなんだけど、あのふたり………


かばんを持って、玄関の戸を開けるとき、八時二十分になってた。


「いいぃぃいいってきまーす!」


あせりすぎて、ろれつがまわらない。



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