眠り姫はひだまりで


*色葉side*


「ありがと~…葉くん~………」


「いーえ。どーいたしまして」


葉くんにサポートしてもらって、なんとか調理室に着いた私。

 
うん。フラフラもだいぶ治ったかな?

これならこっから空き教室まで行けるかも……


「で、癒し姫は調理室になんの用なの?」


ぎくぅ。


「あ~………あ、あのね…………人と待ち合わせしてるの」

「待ち合わせ?調理室で?」


「う、うん。正確には、調理室の扉の前で……………」

 
だって、昼休み調理室鍵開いてないし。

 
「そ?え、何、彼氏とか?」

 
「ちち違うよ!私彼氏いないし!」


「ふ~ん………。じゃ、俺はこれで。待ってる間に寝ないよーにね?」


「だ、大丈夫だよ!……たぶん」


「ははっ」


笑いながらこっちに手を振って、葉くんは教室へ戻っていった。


葉くんの姿が見えなくなるまで手を振り返して、完全に見えなくなった後、ふぅ、と息をつく。


「よかったぁ…………」


バレなかった………………。


 

  
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