私の日本人彼女
私はこのような人の弱みを狙う人間ではない。その時、楠ちゃんはジャケットを下ろし、私を切ろうと鋭い目で見ていた。
 鼻の息は荒く、すごく怒ったように見えた。彼女は私に背向き、角に身を寄せ、私にちかづこうとしない。

 ―――楠ちゃんside―――

 あ〜あ〜もう限界かも。すでにチャットメッセージを3通送っている。新宿駅はとにかく寒い。携帯を見ながら、思わずつぶやく。
目の前に、誰が止まっている。頭をあげたら、晴矢だった!
 もう、離さない。私の最後の命綱!私は残った力尽くしで彼を抱き合った。
寒いせいか、感激したせいか体がブルブル震える。彼は何をしゃべっているが、私の耳には入らない。
 彼の胸はとても暖かくて、安心感がいっぱいだった。彼は着ていたダウンジャケットを私にかけた。
 おにぎりも食べ、少し元気が出てよかった。道でただでもらった味噌汁はこの世で食べたもので一番美味しかったかも。
 彼が働いている店で、私は少し、安心して、晴矢とふざけ始めた。何時だろうと思いながら携帯を見ると4時を回っている。
ちょっと寝ようかな。晴矢に寄りかかり、寝る体制に入る。
男の肩はなんでこんなに広くて、厚くて、暖かいのだろう。一瞬、安心した感じがする。疲れたせいかすぐに、眠りに着く。
 何か、息が苦しい。唇に暑くて、ヌルヌルな感じがする。夢か?
私は少し、気を戻し、目をあげたら、なに!彼が目の前にいる!
それにキスをしてないか!叫ぼうとするが、声がでない!
心臓がパクパク、飛び出しそう!へーーえーー!ありえない!どうするどうする?どうするのよ!
すぐに目を閉じて、この状況をどう乗越すか考える。しかし、頭はめちゃくちゃの状態。思わず、手を胸に置き、口を固く閉じる。いき苦しい。
 わかんない!どうするのよ。誰か教えて!この時、彼は突然、キスを止めた。心臓が喉から出そう!息できない!私は力が抜けて、崩れ落ちそうになった。
 少しして落ち着き、私は思い切り、彼をえぐり見る。コノヤロウ!もう、どうしようもない。
 恥ずかーい!!私は穴があれば入りたいぐらいだった。ほかの人に見られたかな・・・みんな寝ているから大丈夫かな・・・
彼に背を向き、部屋の角に隠れて小さくなった。
< 12 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop