私の日本人彼女
 彼女は日本に帰ったかな・・・大地震で家族は大丈夫なのかな・・・と思っている。男はこういう生き物である。
 目の前の獲物もほしいし、遠くて手が届かない獲物も欲しいかもしれない。ある意味、狼に似ていて、非常に貪欲な生き物である。
 大地震後の2週間後の夜中また、大きな余震が起きた。あまりにも大きいから、ベッドから起き上がった。
 後で収まったから、再び横になり朦朧となるが、また大きな余震が起きた。まあいいか、眠いし。この時、内線電話がなった。
 この夜中に一体誰?間違った電話だろうか。しかし、電話がずっとしてくるから、仕方がなく、電話を出た。
 布団から出たら、思わず「寒っ!」と言ってしまった。内線電話の向こうは楠ちゃんだった。彼女はずっと泣いている。私の話を全然聞いてくれない。
 どのぐらいだろう。私はすでに寒くて、震えている。パンツ一丁で痩型の私にとっては確かに絶えかたい。少し、泣き止んだ時、私は
 「楠ちゃん、俺寒いからさ、布団に入って携帯で電話していい?」と尋ねた。
しかし、思わぬ返事が帰ってきた。「怖いから、来てくれない?」えーーって!私は一瞬自分の耳を疑った。
しかし、何か行きたい。わかんけど行きたい。私は正直に自分の気持ちに従った。部屋番号を聞いて、ジャージを来て、3号棟を目指す。
二号棟と三号棟は隣接しているため、すぐに辿り着く。私は彼女のドアをノックした。ドアがあげた瞬間、楠ちゃんが飛び出し、私に抱付く。あまり強力で息が少し苦しい。
 少し、落ち着かせリビングまで誘導する。リビングは広々で、寝室のドアは閉められて中の様子が見えない。
 リビングのなかでは彼女は足を椅子にあげ、下顎を膝において小さくなっている。涙はまだ拭いてなく、まつげについて光っている。
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