月の骨
朔夜と出会ったのは、大学生のときだ。
僕はK大学工学部に入学したばかりで、大学の中庭はサークル勧誘をする人間で溢れていた。
体育会系のサークルから、飲み会中心の遊び目的のサークルまで、多岐にわたるサークルのビラを押し付けられたが、実際のところそういうものにはほとんど興味はなく、ただ、中庭の桜の花がきれいだったから、僕はその散りかけの桜を眺めるためだけにそこにいた。
風が吹いて、桜の花びらが舞う。
ひらり、ひらり。
でも、それは桜ではなかった。