十五の石の物語
「どうなさいました?」

「そうじゃ…
あんたの顔によう似とる…生き写しじゃ!」

フランツはそう言うと引出しから眼鏡を取り出し、ヴェールの顔を食い入るように見つめた。



「不思議なこともあるもんじゃ…
あんたはあの娘にそっくりじゃ!」

「それは、私の……」

「ヴェール!!」

「……良いのです。
フランツさんなら大丈夫だと思います。」

私の制止を聞かず、ヴェールは言葉を続けた。



「どうしたんじゃ?」

「……フランツさん…
それはおそらく私の母だと思います。」

「母……?
何をゆうとるんじゃ。
その娘は森の民なのじゃぞ。」

フランツがそう思うのは当然だ。
今のヴェールはごく普通の人間にしか見えないのだから。
ヴェールは黙って袖をまくりあげ、怪訝な顔をするフランツの前に陽に焼けていない腕を差しだした。



「そ、その肌の色はまさか……
あんた、森の民だと言うのか!
しかし、その髪の色は……」

フランツは、目を丸くしてヴェールの顔をみつめ続ける。



「これは染料で黒くしているのです。」

「染料で……?では、あんたら、皆、森の民なのか?」

「いえ、彼だけです。
私達は思いがけぬ所で知り合い、こうして森の民の手がかりを探して歩いているのです。」

「探している…?
それは一体どういうことなんじゃ?」

私とヴェールは、ヴェールの出生についてのことやこれまでのいきさつをフランツ老人に包み隠さず話して聞かせた。
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