十五の石の物語
「へぇ~…なんか、信じられないような話だけど、そんな伝説があるから、この町はこんなに可愛く造られてるんだね。」

「お嬢さんも、お祈りされて行かれてはいかがですか?」

「あたしにはそんな相手はいないよ。」

「え…?
そうなのですか。
私はまたてっきり…」

ウェイターはちらりと私の方に視線を移した。



「うぇ~~っ!
あんた、そりゃひどい誤解だよ。
この人は…あたしの腹違いの偏屈な兄さんなんだから。」

「それは失礼しました!」

「お嬢さん、愛は男女だけのものではありませんよ。」

料理を運んできた年配の男がサリーに声をかけた。


「ロードナイトは愛の女神·ヴィーナスの石とも呼ばれているのですが……
愛には実に様々な形がある…
親子の愛もあれば、兄弟や友人への愛…
動物や自然や、そして神への愛……
どんな人にも必ずなんらかの愛があると思うのです。
心に愛をまったく持たない人等いないのではないでしょうか?
愛が必要ない等と感じる人はいないのではないでしょうか?
ね、だからお嬢さん、愛の洞窟へ行かれるとなにか良いことがあるかもしれませんよ。
あなたに、たくさんの愛が降り注ぎますように…!」
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