TWO WISH〜もしも願いが2つ叶うなら…〜
あれから1年…。



あの経験があったから今こうして、この場に立つコトができている。





「じゃぁ次はキリッとしたクールなポーズをお願い!」



モデルが見下す様な視線とポーズで決める。




「決まってるねぇ!OK!じゃぁヘアメイクと衣裳を変えようか!」



カメラマンはカメラを置き、ケンにヘアとメイクのイメージを告げ、休憩に入った。






「はぁ〜。疲れたぁ…。」



長身でスレンダーなモデルがダルそうに言う。




女性ファッション誌の撮影は他の撮影と比べて、精神的にくる。



モデルの大半は高飛車…。



聞いてもいないのに自分のチャームポイントを自慢したり、他のモデルの嫌味を言ったり…。



男の話も多い。



きっと自分に自信があるのだろう。



彼女達は、この世に落ちない男は居ないと思っている。



そんな話をヘアとメイクをしている間、尽きるコトなく喋っている。




その日の機嫌が悪いとゴネたりもする。



理由は様々だが大体はモデルのわがまま…。



その矛先は決まってアシスタントやヘアメイクに向く。



クライアントやカメラマンに対して矛先が向くコトは絶対にない。



モデルとしてクライアントやカメラマンと仲が良いというコトが後々、モデルの“強み”となっていくからだ。





撮影現場に来る時のモデルの私服はブランド物をビシッと着飾っているか、部屋着の様なスウェット姿…。



それでノッている日とノッていない日は判断できる。





きっと、それくらいの自信と気の強さがないとモデルとしてやっていけないのかもしれない。



仕事でのストレスも溜まるんだろうし…。



そういう話を聞いてあげるのもヘアメイクの仕事なのかもしれない。
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