もしも願いが二つ叶うなら…
- モノローグ -
 知るということ。
 知らないということ。
 
 幸せなのは、どちらなのだろう。
 傷つかずに済むのは、どちらなのだろう。
 
 嘘の上に築かれた“幸せ”は、本当に“幸せ”と呼べるのだろうか。
 真実を知らされぬまま迎えた“別れ”は、果たして“不幸”だったのだろうか。
 
 知らなければ、それは美しい想い出のままでいられた。
 けれど――知ってしまえば。
 その先に、どんな未来が待ち受けているのだろう。
 
 それでも私は――
 あなたが選んだその未来に背を向けず、
 あなたが生きる“真実”の世界で、私も生きていきたい。
 
 たとえそれが、
 どんなに辛く、どんなに悲しい運命だったとしても――。
 
 この命に刻まれた想いの、その先で。
 もう一度、あなたに出逢うために。
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