紺色夜話
「お客さん、確か銀子さんでしたよね。
 また是非来てくださいね」




そう言うと志郎は抹茶色の無料券を銀子に渡しました。




「先輩っ、銀子さんは俺のお客さんなんですからねっ、もう」




「アハハ、はいはい」




勝平の文句に楽しげに笑いながら、志郎は他のお客さんの所に行きました。




「“俺”……? もしかして“私”ってのは、付け焼き刃?」




銀子の言葉に勝平は少しふて腐れたように
「そりゃ慣れちゃいませんが、絶対身につけてみせます」
とジッと見てくるのです。




銀子は二次会の夜にここで何があったのか、さらに不安なドキドキで胸がいっぱいになるのでした。
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