紺色夜話
いつの間にか志郎が側に来ていました。




「そんな事……」




そんな事あるはずがない……、と銀子は思いました。




勝平が居る時だって銀子に付きっ切りではないし、他のお客さんの対応をしている間は一人で飲んでいるし。




「もうすぐ来ますよ」




そう言って銀子の肩に手を置くと、人気者の店長は呼ばれた方に行きました。




「どうぞ、よろしかったら僕の券を貰ってください」




緑色の人が緑色の無料券をくれました。




銀子がフッと笑って
「ありがとう、緑の人」
と言うと
「緑ですけど、白石って名前なんです」
と、人のいい笑顔で白石拓郎(しらいし・たくろう、23才)は持ちネタを披露しました。
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