[龍の国]セミテの少女
 あまり広くはない居間へ二人を通し、隣のキッチンで少女は茶の用意を始めた。

(……彼らとは違うようだけど)

 市場で撒いたいつもの連中とは毛色の違う、家の中へ入れてしまった二人の正体を考えながらも手早く茶の支度を終え、居間へと戻る。

 居間へ入るとフード付きマントを脱いだ明るい金茶の髪の少年とその後ろへ控えるように立つ黒髪の青年の姿を認め、対照的な色彩の二人へソファーへ座るよう勧めながら茶を供すると、二人の向かいのソファーへ少女も腰掛けた。

(オッドアイ……)

 真っすぐに視線を向けてきた少年の瞳を見た少女が、少年の素姓を推測していると少年が口を開く。

「突然、申し訳ありません。私の名はカオン·F·ラルーシェ、隣の者はエト·シドウです」

「……双玉の御子?」

 少年――カオン·F·ラルーシェの名乗りを聞き、少女が言葉を洩らすとその言葉にカオンが肩を小さく揺らし息を吐いた。

「その二つ名を何故知っているのか聞くのは愚問というものなのでしょうね……無色の魔女よ」

 カオンの言葉に少女から剣呑な気配が立ちのぼり、エト·シドウと紹介された青年が腰を浮かし懐へ手をやる。

「エト」

 一触即発かと思われたとき、横から掛けられたら言葉にエトは浮かした腰を下ろし懐から手を出した。

「すみません、貴女はこの二つ名をお気に召してないのですね。では、なんと呼んだらよろしいですか?」

「……ナナシ」

 謝罪の言葉と問いを口にするカオンへ、素っ気なく言葉を返す。

「ナナシさんですね、では改めてよろしくお願いします」

 素っ気ないナナシに笑顔を向けると出されたお茶を口にしたカオンだった。
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

また会おうね

総文字数/2,108

絵本・童話11ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
この話はミィのため? ううん、きっと自分のために書いた話…… ミィニャ(推定13才) 2009年6月1日没 ☆・∴・☆・∴・☆・∴・☆ レビュー感謝します 2009/12/23 篁☆和生様 2010/01/15 ユウ・様  ☆・∴・☆・∴・☆・∴・☆ 2009/06/01 初稿    2009/12/15 改題、改稿 2009/12/16 誤字修正  (C)Tonau Yamimori
こげつたん[さみ短3]

総文字数/2,064

絵本・童話12ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
絵のない絵本はいかが? 絵は読んだ貴方が 貴方の心の中に 描いてください 【第三回[さみ短]参加作品】 テーマ:秋      課 題:願いを込める     寂しさを表現 頁 数:5~15頁    参加者名&作品一覧は 巻末に添付してます。 ※雑談BBSにあるさみしんぼ作家さんにて行われたユーザー企画参加したものです。 ☆・∴・☆・∴・☆・∴・☆ レビュー感謝します 2010/01/18 ユウ・様 ☆・∴・☆・∴・☆・∴・☆ (C)Tonau Yamimori

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop