10センチメートル☆ロマンス




「月島は別に俺の事なんて見ちゃいないよ。それなのにあんな傷つけるような事言って…。

 あんなのは、ただのヤキモキだろ?」



 佐伯くんが蒼くんの前に立つと、頭をくしゃりと撫でた。




「……お前も男なんだからさ、好きな女、泣かせんなよ」



 薄く笑うと、ゆっくりと手を離し、私を一度も見ることなく歩き始めた。




「…っ 佐伯くん!」



 私の呼びかけに、彼は背を向けて歩いたまま片手を上げて、


「明日からは……友達な!」



 手をヒラヒラさせて喧騒の中へ入っていく。




 ……友達になってくれるの?




 佐伯くんの優しさに、涙が溢れてくる。




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