10センチメートル☆ロマンス




「はぁ…。

 葵さんの顔ボロボロだよ?」



 大きく息を吐きながら膝をつくと、抱き付く私の頬を蒼くんの両手が包んだ。


 私は顔を上げたくなくて下を向いてるのに、無理矢理上に上げた蒼くんが、


「……ふはっ

 ひっどい顔!」


 人の顔を見て吹き出しやがった。



「ひっ ひどい!」


 私は真っ赤になりながら顔を横に背けたけど。



「……ひどいのはどっちだよ」


 苦しそうな声で呟き、蒼くんは私をキツく抱き締めた。





「……ひどい人だね、葵さんは」


 私の右耳に蒼くんが囁くように呟くと、息がかかる。

 抱き締めた腕は小さいけれど……暖かい。




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