10センチメートル☆ロマンス




 ……よし、こうなったら。



「佐伯くん、あの……」



 言いかけた私に、「葵ちゃん!」と誰かが呼んだ。



「――っ はい!」


 突然の呼び声に振り向くと、受付のおばさんだった。



 内心ホッとしながらおばさんのもとへ向かうと、おばさんは手に入館証と貸し出しカードと分厚い本を持ち、


「ごめんなさいね。

 実はこれ、都築くんの忘れ物なんだけど」



 言って、私にそれを見せてきた。




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